恒星間飛行が現実のものとなり、地球人類と異星人の交流が日常となっている時代。犯罪もその態様を変えていた。地球人が持たない身体能力や、地球文明が及ばない科学技術を用いた犯罪は、もはや地球の警察の処理能力の限界を超えてしまっていた。このような犯罪を取り締まる惑星間組織が、スペシャル・ポリス・デカレンジャー(略称「SPD」)―宇宙警察である。
巨人種異星人によるバスジャックが発生した。犯人は「ホージー」こと戸増宝児率いる宇宙警察地球署の刑事達によって素早く逮捕されたが、処理を終えて戻ってきた刑事達に地球署署長ドギー・クルーガーは先に護送されてきた犯人に対する取り調べの結果、彼が謎の金属を持っており、それは地球に存在しない金属であることが分かったことを伝え、彼は何者かによって運び屋に使われたのだろうと告げていた。
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聞き込みに出たホージー達は金属の秘密を知る人物を突き止めるが、目の前で何者かに射殺されてしまう。暗殺犯は大量のメカ人間を放って刑事達の足止めを図るが、突如割り込んだ6輪パトカーのマニピュレーターに捕まってしまう。パトカーから降りた、警察官にあるまじき派手な髪型の男の名は赤座伴番。ドギーの要請で地球署に配属されたばかりの新米刑事であった……。
様々な新機軸に対して賛否両面から話題を提供した前作『爆竜戦隊アバレンジャー』への反省から、本作は5人編成(女性メンバー2名)のオーソドックスな構成でスタートした。
また時代設定は現代(2004年度)であるが、人類が既に宇宙に進出し、宇宙人と日常的に交流を持っている“近未来的”社会な架空の世界観を舞台にストーリーが構築されている。
これまでの戦隊メンバーや関係者でも警察に関わる立場を持ったものはいたが、シリーズで初めて明確に警察をモチーフにして制作された作品である。そのため、本作は刑事ドラマを意識した造りになっている。特にシリーズ構成面では、敵組織を設定せず、毎回、宇宙警察地球署の刑事達が異なる事件を捜査していく、1970?80年代の刑事ドラマでは主流だった「一話完結」の手法がとられた。これはシリーズを通して一つのドラマを綴っていく傾向が強かった当時の特撮テレビドラマでは異例であった。またブルーがリーダーなのは初めてである。[1]
視覚的な特徴として、女性メンバーのスーツがスカートを模したものでなく、男性キャラクターのものと共通仕様になっている点が挙げられる。
また、各エピソードや登場人物のキャラクターには、随所に『太陽にほえろ!』『Gメン'75』『特捜最前線』など1970?80年代の名作刑事ドラマへのオマージュが込められている。もともと、スーパー戦隊シリーズの企画に当たっては、刑事ドラマの古典『キーハンター』が意識されており、結果的に「異なるスキルを持つ者たちがチームを組み、力を合わせて困難を克服する」(「概要」より)という原点への回帰にもなっている。
同シリーズにおける近年の巨大ロボットの戦闘シーンではCGを中心とするスタイルに移行しつつあったが、今作では「CGに頼り過ぎない」のと「質感重視」の方針から、昔ながらのミニチュアを用いた手法を併用しており話題を呼んだ。
本作以降の戦隊シリーズでは、『女性メンバー2人』の設定が非常に多くなる。これは、海外でパワーレンジャーを製作するにあたっての配慮とも考えられる。詳細については、解説を参照。また、本編終了後の『魔法戦隊マジレンジャー VS デカレンジャー』では、海外版の『パワーレンジャー・S.P.D.』の装備を登場させるという、言わば逆輸入の方式が初めて見られた。
デカレンジャーチームのメンバーの苗字は内外の推理小説作家から、名前はお茶から、ドギーら宇宙警察高官の出身惑星名はエジプト神話からヒントを得ている。また、デカレンジャーは変身前も変身後もお互いをニックネームで呼び合っている。
オープニングのタイトルコールは18話のみ、京都ロケということもあり、「特捜戦隊デカレンジャー!(と、5人で叫んだ後に少し間を空けて)どすえ(と、木下と菊地が落ち着いた声でタイトルコールをしている)」になっている。 他にも最終回一話前の49話はOPでのキャストのカットが新たに録りおろしになっていたり、最終回のみOPナレーション「5人の刑事たち」が「6人の刑事たち」になっていたりと凝った点が多い。
オープニングテーマはアニメ作品を中心に活躍するロックデュオ・サイキックラバー、エンディングテーマは『ジャッカー電撃隊』以来の登場となるベテラン・ささきいさおが担当したが、新しい試みとして、17話以降ヒロインがメインの回では通常とは別のエンディングテーマ(ヒロインの2人を演じる木下と菊地が、ヒーローを演じる載寧・林・伊藤をコーラスに従えて歌う)が使用されている。なおヒロインのコンビは、その17話のタイトル「ツインカム エンジェル」の名で呼ばれ、人気を博した。
本作における『デカレンジャー』という名称は、宇宙警察そのもの、またはその捜査官を指すものであり、本編中では初期メンバー5人以外にも多くの戦士が登場している。前半で上官のドギーがデカマスターに変身できる事が判明(変身する機会は抑え目)。その後、シリーズ初の7番目に当たる戦士であるデカブレイクも登場。よってシリーズ初のレギュラーが7人の作品となった。この7人以外にも、2話のみ登場したデカスワン、1話のみ登場したデカブライト、劇場版で一瞬だけ登場したデカゴールドと、計10人の『デカレンジャー』が登場し、最終回では8人が一度に会した。
なお、本作では各話を示す単語をEPISODE(エピソード)と称している。 ちなみにスーパー戦隊シリーズでは珍しく(この作品はフィクションです。実在する登場人物や団体とは一切関係ありません)というテロップがかけられたことでも有名。
キャスティング
特徴の項目でも述べたように敵組織が設定されていないため、例年に比べレギュラー出演者は主人公側、敵側ともに少なめだが、それだけにキャスティングは要所を締めつつもオールドファンを意識した陣容になっている。
地球署の刑事たち以外のレギュラー陣で唯一顔出し(俳優自身が出演すること)の地球署エンジニア・白鳥スワン役には、元アイドル歌手であり、近年は女優としても活躍する石野真子が起用された。スワンは、企画段階で設定されていた「小料理屋のママ」と、菅原文太をイメージしたというエンジニアを統合したキャラクターであり[2]、石野は自身の独特な雰囲気で演じ切って、強力な存在感を示した。
毎回のゲスト俳優には、『仮面ライダークウガ』でバラのタトゥの女を演じた七森美江、『仮面ライダーアギト』で木野薫=アナザーアギトを演じた菊池隆則と、過去の特撮からのゲスト出演が多い。また、毎回のゲスト声優も、主力級からバイプレーヤー、ベテラン、ダンディ坂野のようなお笑い芸人(彼は人間態も演じた)など幅広く動員された。さらには忍者戦隊カクレンジャーの土田大と「激走戦隊カーレンジャー」の岸祐二ら戦隊ヒーローOBらが出演し、個性豊かな異星人を演じている。41話では名探偵コナンでもお馴染みの高山みなみがアサシン星人ジンギ役を演じて話題になった。ベテラン声優が特撮の悪役を演じるのは昔からあったが、一話完結で各話のインパクトが強い当作ではゲスト声優が大きなポイントになった。
何よりも、地球署々長ドギー・クルーガー役の稲田徹、アリエナイザーに武器などを卸す商人エージェント・アブレラ役の中尾隆聖の好演は特筆するべきだろう。特に稲田のドギーに対する惚れ込みは尋常ではなく、スーツアクターの日下秀昭、マスク部の操作を受け持った神尾直子との三位一体で、歴代名作刑事ドラマのリーダーたちを彷彿とさせる「ボス」像を作り上げた[3]。「地獄の番犬」などのロゴが入った帽子を特注で作ったほどドギー役にのめりこんでいた稲田は、初メイン回のアフレコの前の日は興奮のあまり眠れず、最終回のアフレコでは号泣してしまったという。
スタッフ
前作まで5年連続でチーフを務めた日笠淳が『仮面ライダー剣』のプロデューサーに転じたため、前2作でサブを務めていた塚田英明が東映側チーフプロデューサーに新たに就任。また、テレビ朝日側プロデューサーには、初めて外国人(オーストラリア人)のシュレック・ヘドウィックが起用されている。ヘドウィックはドキュメンタリー畑が長く、本作が初のドラマであった。デカレンジャーのメンバーは任務了解を「ラジャー」ではなく「ロジャー」と発音しているが、これはより英語らしく聞かせようと言うヘドウィックのアイディアによるものだと言われている。他にも、今作はサブタイトルがすべて英語のため、スタッフは度々ヘドウィックに意見を求めに行ったとのこと。ちなみにヘドウィックは日本育ちで、『太陽戦隊サンバルカン』の大ファンで超合金のサンバルカンロボを今でも持っているという。ヘドウィックは本作から『轟轟戦隊ボウケンジャー』序盤までシリーズに携わった。
メインライターは前作『爆竜戦隊アバレンジャー』に引き続き荒川稔久が担当。サブライターでは戦隊メインライター経験者の武上純希、戦隊は初となる横手美智子が脇を固めている。
演出陣ではパイロット監督を渡辺勝也が担当。その他ベテランの辻野正人、坂本太郎に加えこれまでなかなかシリーズで監督専任になれなかった竹本昇、中澤祥次郎が本シリーズにて数々のエピソードを多数演出し、名実ともに戦隊シリーズ演出陣の中枢に食い込むことになった。そしてアクション監督にはこれまでメインの竹田道弘に代わり石垣広文が新たに就任。
チーフ撮影監督には久々に松村文雄が復帰、大沢信吾とともにシリーズの映像面を支えることになった。また『超力戦隊オーレンジャー』終了後は営業に専念していた鈴木武幸が制作統括として復帰している。
評価
特徴の項目でも上げた通り、往年の刑事ドラマの雰囲気を盛り込みつつ戦隊らしさを追及した本作は、戦隊・特撮ファンに限らず高く評価されることが多い。
バンダイの社員の話によると玩具の売上は今ひとつであり(2005年のBUBKAのインタビューより)、実際にも前作『アバレンジャー』のキャラクター収入・130億円から116億円と低下しているが、主題歌シングルは番組の人気に乗り10万枚を突破するセールスを記録する等、玩具以外の商品面は成功を収めた。
放送終了後も、2006年に行われた第45回日本SF大会みちのくSF祭 ずんこんにおいて、第37回星雲賞(メディア部門)を受賞している。これはSFファンが選ぶ優れたSF作品に与えられる賞の一つであり、戦隊シリーズでは初の受賞である。本作によってウルトラマン・仮面ライダーの日本を代表する「3大特撮シリーズ」すべてが受賞した。
物語・諸設定
特捜戦隊デカレンジャーの登場人物
特捜戦隊デカレンジャーの装備・戦力
アリエナイザーの装備
ドロイド
エージェント・アブレラの販売するメカ人間。それぞれ顔に名前に由来するものがついている。
アーナロイド
数の多い安価型ドロイドで、一度に百体近く出現したこともある。武器はナイフと専用の銃。「ウィーン」とか喋れないが言葉は理解できるようだ。
名前の由来は穴からであり、顔に穴がついている。顔のモチーフは小惑星。
バーツロイド
アーナロイドよりも性能が高く、怪重機の操縦までこなす中級ドロイド。武器はX型の剣と専用銃。また、理解不能ではあるものの言葉を話すことができる(第1話でジャスミンが意味を理解していた事から、宇宙語とも考えられる)。
名前の由来は×(バツ)からであり、顔に×がついている。顔のモチーフは惑星。
イーガロイド
ゲド星人ウニーガをモデルに製作された、高い知能と言語能力を備える最高級ドロイド。量産型ドロイドとしては戦闘力が高く、デカレンジャーのメンバーを個々に相手にする場合は互角以上に戦える。武器は細身と大型(外見は未来戦隊タイムレンジャーでタイムレンジャーが使ったスパークベクターに似ている)の2種類の剣イーガソードと専用の銃。また、ウニーガの剣技を元にした必殺技クロスバーストを持つ。デカレンジャーの面々(特にジャスミン)からは、栗のイガの形に似ていることから「イガイガ君」と呼ばれる。
名前の由来は毬(いが)からであり、顔に毬の形の針がついている。顔のモチーフは恒星。
マッスルギア
中盤より登場。エージェント・アブレラの販売する戦闘強化服。マッスルブレスのボタンを押すことで装着する。 脅威的なパワーと装甲を誇り、さらに光学迷彩で姿を消す機能も備えている。初登場時はデカレンジャー5人が全く歯が立たないほどの性能を発揮した。その後も度々改良を加えられつつ登場。最終決戦では、パワー、スピード、防御、剣術と、特定の分野に特化したハイパーマッスルギアが登場した。
怪重機
エージェント・アブレラの販売する巨大マシーン。商品というだけあって同型機が複数出てくることも多く、本作品の巨大ロボット戦を特徴的なものにしている一因ともなっている。パイロットはアリエナイザーであるケースと(この場合、搭乗した相手にそのままジャッジメントが下される)、アブレラの命によるバーツロイド、イーガロイドなどのメカ人間の場合とがある。尚一部の機体にはジャスミンが命名したアダ名が付いている。