日本は、大和民族が人口の大多数を占める。「一民族、一国家、一言語の日本」の類の発言は政界や言論界で時折語られる見解である。一方で少数民族と言われる集団も少数ながら存在し、それと看做される集団もまた存在する。
前述したように民族国家と関連する民族主義に対する嫌悪感もあり、日本を単一民族国家と呼ぶこと自体を非難する見解が根強く存在する。この場合は少数ながらも存在する非日本民族の存在を指摘して「純粋」な意味では日本は単一民族ではないとの主張が展開される。{要出典項目|一方で人口のほとんどが大和民族である日本は「実質上」の単一民族国家であり「純粋」な定義を適用すれことは詭弁であるとの反論もある。この場合に議論になるのは主としてアイヌの存在および過去にとられた土民同化政策の功罪、琉球文化と大和文化の共通・相違点の是非、および在日朝鮮韓国人の地位問題などである。
実際に日本が単一民族国家(Nation State)の典型であるとの認識は内外で見られる。しかし日本国内で日本を単一民族国家と表現すると少数ではあるが実在する少数民族を軽視(無視)しているとして批判が展開される。ただし「日本は単一民族国家」の類の発言はあくまでも制度や国家に対する言及であるという面もあり、その正当性には議論の余地がある。その点で「日本に異民族は存在しない」や「日本に人種差別の問題は存在しない」の類の発言は明らかに事実と異なる。この場合にアイヌや在日の団体が抗議を表明するのは当然であるといえる。もっとも、「日本に少数民族は存在しない」ことは長く日本政府の公式見解であった。これは後述の中曽根発言の際も行われたもので、国際人権条約で問われている意味での「少数民族」にアイヌは当たらない、との見解を示し、単一民族発言との整合性を取ろうとしていた。
単一民族発言で批判を浴びた著名人は、以下のとおりである。
中曽根康弘 - 1986年9月24日、総理大臣在任中、いわゆる知的水準発言の謝罪会見の際に「アメリカは多民族国家だから教育が容易でなく、黒人、プエルトリコ、メキシカンなどの知的水準がまだ高くない、日本は単一民族国家だから教育が行き届いている」という趣旨の教育に関する発言を行った[2]。アメリカから厳しい批判が起こったがこれは黒人やラテン系の知的水準が低いとの旨は人種差別ともとられかねない発言であるからで、この時点では日本国内での反発は少なかった。ただし、アメリカでの批判には「単一民族社会が複合民族社会より優れているという考え方自体が、最も悪質な人種差別である」との表明が含まれていた。中曽根はその釈明の中で「日本は単一民族だから手が届きやすいという意味だ」および「日本国籍を持つ方々で差別を受けている少数民族はいない」と国会で発言し、この発言が国内からはアイヌ系などから強い反発を受けた。同年10月21日にアイヌのウタリ協会などの団体から「単一民族発言はアイヌ民族の存在を無視するもの」という抗議を受けた。
山崎拓 - 1995年、衆議院議員在任中、「一民族、一国家、一言語の日本の国のあり方がこれほどの国力を作り上げた。日本人が日本人を思いやる気持ちが阪神大震災の救済にも現われている」と発言。
鈴木宗男 - 2001年7月2日、衆議院議員在任中、東京有楽町の日本外国特派員協会での講演にて、「(日本は)一国家、一言語、一民族といっていい。北海道にはアイヌ民族がおりますが、今はまったく同化されておりますから」と発言[3]。北海道ウタリ協会の吉田昇理事から「情けない。アイヌを一番知るはずの地元の鈴木代議士が正気で発言したとは思えない。中曽根康弘首相の単一民族発言から15年たつのに、相変わらずの認識だ」との反撥を受けた[4]。
平沼赳夫 - 2001年7月2日、経済産業大臣在任中、札幌市内で開かれた自民党中川義雄参院議員のセミナーにて「小さな国土に、1億2600万人のレベルの高い単一民族できちんとしまっている国。日本が世界に冠たるもの」と発言[3]。北海道ウタリ協会の阿部ユポ副理事長から「アイヌ民族が先住民族であるという歴史を知らない発言だ。一国の大臣がわざわざアイヌモシリ(人間の大地=北海道)で、こうした発言をするのはアイヌ民族に対する挑戦ではないか」との批判を受けた[4]。
鳥居泰彦 - 2003年2月13日、慶應義塾学事顧問・中央教育審議会会長在任中、衆議院憲法調査会の「基本的人権の保障に関する調査小委員会」の会議に参考人として出席した際、「日本が犯罪率が低いのは単一民族の国だからだ」という趣旨の発言をおこなう。
麻生太郎 - 2005年10月15日、総務大臣在任中、福岡県太宰府市の九州国立博物館開館記念式典の来賓祝辞で「一文化、一文明、一民族、一言語の国は日本のほかにはない」「今は(世界各地で)人種、地域、宗教でいろんな争いが起きている。日本は一国家、一文明、一文化圏で、そういう国はあまりない」と発言。
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伊吹文明 - 2007年2月25日、文部科学大臣在任中、長崎県長与町で開かれた自民党長与支部大会での講演にて「大和民族がずっと日本の国を統治してきたのは歴史的に間違いのない事実。極めて同質的な国」「悠久の歴史の中で、日本は日本人がずっと治めてきた」と発言[7][3]。
中山成彬 - 2008年9月25日、共同通信社など報道各社とのインタビューで「日本は随分内向きな、単一民族といいますかね、あんまり世界と(交流が)ないので内向きになりがち」と発言[8]。この発言が与野党からの非難を受け[9]、同日に「誤解を招く表現であったので撤回します」との声明を発表。